
ロングプロダクツの代表兼、唯一の職人である藤本寛さんは、万年筆を作り続けておよそ半世紀。大阪・生野の工房で、アセテート、エボナイト、セルロイドなどの筆記具を完全手作りで製作している。 アセテート等を使った万年筆は、プラスチックとは違う温かみのある手ざわりと発色の良さが魅力だが、高い技術と大変な手間を要するため、今では全国に片手で数えられるくらいの職人しかいないという。 藤本さんは、轆轤(ろくろ)を使って手挽きで軸を削り出し研磨するという昔ながらの手法で、万年筆1本につき67もの工程をひとりでこなす。 まずメーカーから角棒で提供される素材を削って丸棒にし、本体、キャップ、トップ、ペン先を取り付けるリングなどすべての部品を形成する。組み立てたときに部品がぴったり合い、歪みやズレのないなめらかな形に仕上げるのが熟練の技だ。キャップ内側のネジ切りはとくに難易度が高く、轆轤を手回しして削り出す。 藤本さんがこだわり神経を注ぐのは、万年筆そのものの製作だけではない。轆轤に取り付ける刃や道具まで自分で作るのだ。万年筆の各部の長さや直径を緻密に計算し手描きした設計図をもとに、それぞれの部分を削るための刃を手作りするのだ。刃の当たり方の微妙な違いで狂いやズレが生じる。道具作りは、万年筆の仕上がりを左右する重要な作業なのだ。 「100分の1mm単位で削らなければならないので、かなり神経を使いますね。アセテートの棒も1本1本微妙に太さが違うので、その都度、直径を測って確認し、刃を調整しなければなりません」と藤本さん。 ロングプロダクツの前身は、1949年に藤本さんの父・秀一さんが創業した不二ゼット万年筆。当時ボールペンを製作していた同社は、昭和24年に西宮で開催されたアメリカ博覧会に出展。これをきっかけに国内のメーカーから依頼を受け、ドイツの筆記具メーカー、ロットリング社のニードルペンをヒントにしたペン先のないパイプ式の万年筆を製作した。 手軽なうえ書き味なめらかなこのペンは、たちまち人気を博した。さらに藤本さん親子のもとに、11種類の線幅が書ける製図用万年筆の依頼が舞い込み、これも大ヒット。「0.1mmという極細のパイプを作るのが最大の難関でした」と藤本さんは当時をふり返る。 注射器メーカーを訪ねパイプ製作のための機械を探したがうまくいかず、最終的に行き着いたのは腕時計用の旋盤だったという。そしてニードルペンと並行して当時から作っていたのが、輸出向けのアセテート製万年筆だった。 父や工場の職人たちの仕事を見て技術を覚え、藤本さんも昭和30年代から万年筆を作り始めた。「長年の勘と経験、そして神経質なくらいの性格が万年筆作りには必要です」と藤本さん。100分の1mmを妥協しない姿勢と技が、目に美しく手になめらかな味わい深い1本を作りだす。 mono shopではロングプロダクツの藤本さんと、世界の筆記具を豊富に取り揃える通販サイト「ペンハウス」とのコラボ商品を取り扱いを開始しました。 藤本さんが手作りしたアセテートのボディに、書き味のいいドイツ製ペン先が付いたスペシャルアイテムです! |
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